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じんと

子どもの幸福度No.1のオランダ

「オランダへ視察に!」  まとめ①オランダの教育改革、変化


○日本の教育実習との違い、教師の働き方
教職員養成大学に通う学生との対話で驚いたのは、入学して2ヶ月後からすぐ教育実習が始まるということ。初めの1年間は週に1日、2年生からは週に2日の実習を4年間通して行う。担当クラスは半年ごとに変わり、小学校の全ての学年を経験できるようになっている。年数が上がっていくに従って、授業やクラスを任せられることもあるという。
座学は?と聞くと、実習で出た課題を出して話し合う形がメインで、あくまで実践ありきの教職員養成課程。
日本の教育実習は2〜4週間の教育実習がほとんど。指導案に重きを置いており、任せられることはほとんどない。1年目で担任をもち戸惑う新規採用教員がいる中、大学時に現場の実践的な学びができ、教師不足の解消にも繋がる良いアイデアだと思う。

現在の多くのオランダ人の働き方は、夫婦がそれぞれ3〜4日働く。小学校への送りや平日の放課後に子どもと一緒に公園にいるパパ率が非常に高い。
時間もフレキシブルで、話を聞いたパパはその日は7時30分から15時まで働いて子どものサッカーに来ていた。そのパパ曰く「日本人は子どもにも大人にもプレッシャーをかけ過ぎだ。」「人に大切なのは、創造力とチャレンジ精神だ。それ以外はPCがしてくれる。」「プレッシャーで根詰めて働いても続かないだろ。とにかくリラックスが大切さ。」
教師も働き方を自分で選ぶことができ、週に3-4日の勤務の人が多い。全て正規雇用で福利厚生もある。
日本は正規雇用は全員週5日だ、というと「それだったら誰も教師にならないよ。」と。
更に、バケーションがトータルで3ヶ月。
「このバケーションに色んな場所に行って、たくさんの経験を積むんだ。そうじゃなきゃつまらない教師になるだろ。」
そういった環境で働く教師たちにはやはり余裕があり、よく子どもを見ている。みているが口出しや手出しは少なかった。

○子どもを取り巻く環境、放課後
12歳まで2.5ユーロで電車に1日乗り放題。
グリフト公園(市営の公園)には、障害の有無に関わらず全ての子どもが楽しめるつくりのインクルーシブ公園がある。大人もくつろげるように多くのベンチや日陰があり、オーガニックカフェ&農園もあり、うさぎや羊などの動物に誰でも無料で接することができた。スケボーパークやバスケットコートもあり、多くの子どもたちが平日の放課後を満喫していた。
驚くべきは、その場に管理人が1人もいないということ。日本の感覚だと危険がたくさんあり、責任問題になりそうな箇所もたくさんあった。監視、管理されることなく、自分で危険回避の力や調和的な力を身につけて、生き抜く力に繋がっているのだろう。市民教育が浸透している証拠だと感じた。

○オランダの教育改革
市民教育の浸透と書いたが、それはオランダの教育改革に遡る。
2000年以前、オランダの街では非行少年がまちに溢れ若者の問題が多かった。
学校も荒れて教師がどんどん辞めていったという。
学校教育の危機感から、学校文化の体質を変えるためのプログラムとしてピースフルスクールプログラムが1999年から始まった。
(詳しくは https://peaceable-education.com/psp/ )
始めた当初、反発も激しかったが、子どもに変化がすぐに見られ、その成果が広がり、ユトレヒトの1つの公立小学校で実験的に始めたものが、市全体に広がり、今では国が全ての学校にこのプログラムを義務付けている。
このプログラムは教師のトレーニングに力を入れ、保護者も巻き込んでいく必要があるが、わずか20年足らずで学校教育の体質が変化している。
オランダは実践を重視する。日本の公教育は既に制度疲労を起こしている。無気力や不安感を感じる子どもが増え、子どもの自殺者数も過去最多のままだ。日本も、変化するために実践をしなければ。